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緊急駆けつけ業界ヒストリー第3回:コールセンターの標準化・拡大と管理会社への波及

シリーズ全体の趣旨と今回のテーマ

前回は、ロードサービスとの決定的な相違点と、「住宅は多種多様すぎる」がゆえに直面した課題を中心にお届けしました。

第3回では、そこからどのようにマニュアル化やシステム化を進め、急増する依頼に対応できる体制を作り上げたのか、そして不動産管理会社が一気に導入を進めた理由について深掘りしていきます。

第2回記事はこちら↓


1) 「FAXじゃ追いつかない!」システム導入で加速したコールセンター改革

松川

「前回、アナログ方式(紙やFAX)での手配が限界に達していたという話がありましたね。そこから業務を大幅に効率化したと聞きましたが、具体的に何を変えたんでしょう?」

松下

「最初の仕組みは、“電話で内容を聞き、紙に記入し、FAXで業者に依頼”という流れでした。件数が少ないうちはなんとか回りましたが、月に何千件と積み上がると、ミスの発生やスタッフの負担増が問題になってきたんです。そこで、受付から業者選定、依頼送信までをシステム化する仕組みを構築しました。」

「業者さんの多くはFAXを使っていましたが、コールセンター側は入力→送信の工程を一元化することで、オペレーターの負担が激減しました。」

松川

「なるほど。業者の方々は従来のやり方をあまり変えずに済みつつ、コールセンター内ではIT化を推進した形ですね。」

松下

「そうです。新しいシステムによって業者の選定プロセスもスムーズになり、依頼件数が増えても迅速な対応が可能になりました。」


2) 「鍵交換だけだったはずが…」会員制へ進化し続ける理由

松川

「ロードサービスと住まいの駆けつけをつなぐ役割として、“鍵交換”が最初に大きな役割を果たしたと聞きました。そこから“会員制”に発展した流れを詳しく教えていただけますか?」

松下

「そうなんです。最初は退去後の鍵交換から始まりました。賃貸物件では必須の作業なので、各不動産管理会社との取引が増えました。そのうちに、『水漏れやエアコン修理も頼めるの?』という要望が増えていったんです。」

「そこで考えたのが、“JAF方式の会員制”でした。つまり、『入居者は事前に年会費や保証料を支払えば、トラブル発生時に無料または割安で駆けつけ対応が受けられる』という仕組みです。入居者にとっても安心感が大きく、管理会社にとっても夜間の急な問い合わせに対応できるため、急速に広がりました。」

松川

「ロードサービスの会員制とほぼ同じ仕組みですね。保険だとお金は出るけど、実際に動いてくれる人がいないという話ともつながりますね。」

松下

「まさにその通りです。“保険 + 駆けつけ”の組み合わせは非常に相性が良いんです。不動産会社にとっても、契約時にセットで案内しやすいし、入居者にとっても“何かあったらすぐ来てもらえる”という安心感がある。この好循環でサービスが爆発的に拡大しました。」


3) 「行けば契約が取れる!?」管理会社が求めた24時間コールセンター

松川

「当時は『行けば契約が取れた』という話もありましたよね。それほど不動産管理会社のニーズが高かったんでしょうか?」

松下

「そうなんです。特に夜間・休日の対応が大きな課題でした。“誰がやるのか?” “残業代がかさむ” “社員の離職率が高くなる”といった悩みを抱える管理会社が多く、私たちが“24時間コールセンターで一括して受けます”と提案すると、『ぜひすぐに導入したい!』という声が相次ぎました。」

「ただ、それと同時にマニュアル整備が膨大な作業となりました。例えば、管理会社A社は『深夜のエアコン故障は翌朝対応でOK』、B社は『すぐに業者派遣』といったように、会社ごとに細かいルールが違うんです。営業チームが一社ずつヒアリングし、それをコールセンターに落とし込む作業が不可欠でした。」

「その結果、深夜に判断を迫られるケースも増え、私の携帯も毎日のように鳴りっぱなしでしたね。」

松川

「それがいわゆる“プラチナブラック”状態と言われるゆえんですね(笑)。でもそのぶん、管理会社の社員が深夜に呼び出される必要がなくなったわけで、導入側からの感謝の声も多かったのでは?

松下

「ええ、実際に導入した管理会社では社員の離職率が大幅に下がったという声をいただきました。『夜間のクレーム対応を外注できるだけで、こんなに楽になるとは…』という反応も多く、やりがいを感じましたね。」


【次回予告】

松川

「管理会社にとって、夜間や休日の急な対応が負担だったのはよく分かりました。それを一本化して代行できるなら、“導入したい”となるのも納得ですね。」

「次回は、不動産業界での爆発的普及と同時に生まれた競合会社の動きや、保険会社・IT技術との連携による進化などを深掘りしていきたいと思います。」

松下

「はい、ロードサービス由来のサービスが、いつの間にか不動産管理のスタンダードになっていく流れ、そして同業他社が増えた中でどう差別化を図ったかなど、お話しできればと思います。次回もよろしくお願いします!」